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スイス・プライベート・バンカー5行とスイス・プライベート・バンク9行

今回はスイス・プライベート・バンカーとスイス・プライベート・バンクについてのお話です。前回は「プライベート・バンカー」と「プライベート・バンク」の違いについてご説明をしましたが、今回はやや具体的にどんな「プライベート・バンカー」がスイスにはあるのかについて触れてみようと思います。

「スイス・プライベート・バンカー協会」

スイスには「プライベート・バンカーズ協会」なる団体が存在し、「プライベート・バンカー」は全てこの協会のメンバーとなっています。

このプライベート・バンカーズ協会は5の銀行メンバーから成り立ち、このメンバーによって全世界で500人程度の人々が雇用されています。この本部はジュネーブに置かれ、スイスにおける「プライベート・バンカー」の特殊な地位や名声を守るために1943年設立されています。

また、スイスには「スイス銀行協会」と言うスイスで営業する銀行全体の協会がありますが、過去においてはこの会長には、日本でも有名なユニオン・バンク・オブ・スイス(UBS)、クレディ・スイスを差し置いて、元プライベート・バンカーズ協会のメンバー行(2017年現在は、新たに発足したスイス・プライベート協会メンバー)の頭取が就任している事からも、スイス銀行界でのその地位の高さを窺い知る事ができるでしょう。

スイス・プライベート・バンカーズの名称

2019年11月現在のプライベート・バンカー協会のメンバー、つまり正式な「プライベート・バンカーズ」は以下の5行となっています。名称の後の数字は設立された年であり、150から200年以上近くの歴史を持つ点が注目されます。(Swiss Private Bankers Associatetion)

ジュネーブ・プライベート・バンカーズ協会の発展的解散

この中でも中心的存在となっていたのがジュネーブの「ピクテ」、「ロンバー・オーディエ・ダリエ・ヘンチ」、「ミラボー」、「ボーディエ」の4つのプライベート・バンカーでした。

2014年にはボーディエを残した3行「ピクテ」、「ロンバー・オーディエ・ダリエ・ヘンチ」、「ミラボー」が、無限責任パートナーシップのプライベート・バンカーズから有限責任制のプライベートバンクへと移行しました。

2013年までのこの4行でジュネーブ・プライベート・バンカーズ協会という組織を運営していましたが、2014年以降は新たに発足する「スイス・プライベート・バンク協会」発展的に吸収されることとなっています。

「ピクテ」、「ロンバー・オーディエ・ダリエ・ヘンチ」の2つの銀行は、プライベート・バンカーとしてそしてスイスの銀行としても大手の部類に属し、パートナーが所有する無限責任制の銀行としてそれぞれ個人富裕層へサービスを中心にしながらも、現在は国内外年金等の機関投資家に対してもサービスを行なっていました。

過去に「ピクテ」の頭取と会いインタビューをした際の印象は、非常に先進的でかつ積極的な印象を受けました。またプライベート・バンカーと言う特殊な形態の銀行でありながら、オープンである印象を同時に受けました。そこそこの規模になってしまうと、組織は硬直化、官僚的になるのが通常ですが、ピクテに関しては決断の速さ実行力についてはアメリカの会社にも劣らないでしょう。

「ロンバー・オーディエ・ダリエ・ヘンチ」は、「ロンバー・オーディエ」と「ダリエ・ヘンチ」が数年前に合併して出来たプライベート・バンカーズで現在は「ピクテ」に肩を並べる規模を有しています。

「ミラボー」は、原則としては個人を中心にサービスを行なっていたプライベート・バンカーでしたが、最近は機関投資家へのサービスも部分的には提供をしてます。

「ボーディエ」は規模的には最も小振りですが、原則として個人顧客に徹しています。他の在ジュネーブのプライベート・バンカーが、海外に銀行の名前を称した現地法人や駐在員事務所などを積極的に設立して拡大路線を進めている一方で、「ボーディエ」は海外の顧客に対してもあくまでもスイスそれも主にジュネーブから直接サービスを提供する戦略をとっています。もっとも、実際にはニューヨーク、パリ、ロンドンに「ボーディエ」の名とは異なる名前の資産運用会社を傘下に持って国際展開を図っています。

これはむやみな拡大によるサービスの質の低下を避けると同時に、顧客にとっての守秘性を高める事を重視しプライベート・バンカーにおいて、より独自の存在を目指しているからこそと言えるでしょう。

2017年現在においてはこのボーディエのみが元ジュネーブ・プライベート・バンカーズでは唯一、有限責任制を維持しており、最大のプライベート・バンカーということになりました。

いずれにしてもスイスで「プライベート・バンカー」、「プライベート・バンク」、「プライベート・バンキング」を語る際には、これらジュネーブの4つのプライベート・バンカーとプライベートバンクを抜きには語ることが不可能であるほど、重要かつ中心的な地位を占めているのは、日本ではあまり知られていない事実です。

しかし、残念ながら純粋な「プライベート・バンカー」の数はスイスでも減少の一歩を辿っています。独占化や寡占化が進む金融業界において、将来的には継続するのが難しいのが現実でしょう。守秘性も無くなり日本からの距離を考えてもその魅力が激減したと言えるでしょう。

こちらのサイト(日本プライベートバンク協会)もご参考ください。

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